がん患者のささやかな願い　3

もう一つ、あや子さんの心には気がかりなことがあります。それは家族ですら、病気の辛さをなかなか分かってもらえないことです。

家事や育児を手伝ってもらえることは本当にありがたいですし、感謝しています。でも、本心はそこではないのです。難しいことかもしれませんが、精神的に支えてくれることを望んでいます。

がん患者は、家族の中でも地域や社会の中でも孤独という寂しさを感じてしまいます。たまにでいい、一言でいい、家族に優しい言葉をかけてもらいたい。そして、体調が悪い中、育児や家事をがんばっていることを認めてほしい。

こんな切ない願い・・・私は心で泣けてしまいました。

家族ががんになって、献身的に支える話はよく耳にします。もちろん、どのご家庭でも、できる限りを尽くしていることでしょう。

ただ一つ、彼女だけでなく、私も同じように思うことがあります。私自身も自分に経験のないことは本当の意味で理解してあげることができないかもしれません。仕方のないことなのかもしれません。時間が解決してくれることなのかもしれません。

一言でいい、様子を見て、声をかけてほしい。言葉が見つからなかったら、触れてほしい。からだをさすってほしい。

辛い病状に置かれた人に湧いてくる自然な気持ち。そして、家族だからこそできる「手あて」。どんな薬よりも効果のある、心の栄養ではないでしょうか。

自分のからだが動かなくなり、「もうダメかもしれない」と、心が弱くなってしまったとき、あなたなら、どんな声をかけてもらいたいですか。

YUKO