ムスリムになった僕の1日

 
ある日、一緒にコラムを書いているYUKOさんに
「毎日お祈りの時間があるムスリムは、1日をどんなふうに過ごしているの？」と尋ねられました。
 
この質問、聞かれることが多いのですが、僕自身ムスリムになる前と後での生活が劇的に変わったような感覚はありません。
そのため、いつも返答には戸惑います。
ちなみに僕が改宗したのは、2020年の5月でコロナ禍でした。そのため多くの人の生活スタイルは変化していたのかなと思います（笑）
 
とりあえず、一日のスケジュールを書いてみました。
 

6:00 起床、礼拝
7:00 朝ご飯、アルバイトへ行く準備など
9:00~13:00 アルバイト
13:30~14:30 移動、お昼ご飯、礼拝
14:30~17:00 大学の授業（オンライン）、休憩時間に礼拝
17:00~20:00 お風呂、夕食、礼拝、その他自由時間
20:00~22:30 家業の手伝い、礼拝
23:30 就寝
 
礼拝や家業の手伝いとかはないかもしれないですが、他はあまり変わらないのかなと思います。
 
表にもあるように、ムスリムは1日5回、お祈りをします。
礼拝時間だけを示すと以下の通りです。
 
・ファジュル（日の出前）
・ズフール（南中時刻ごろ）
・アスール（影の長さが実際の長さの2倍になった時くらい）
・マグリブ（日没後）
・イシャー（空から太陽の明るさが無くなった時くらい）
 
「1日5回も礼拝するのは大変でしょ」と言われることが多々あります。1回の礼拝は、時と場合、そして人によりますが、平均して5~10分程度です。
なので、SNSや動画を見る時間が礼拝になった、と思えば、特に大変なことでもないと僕は感じています。むしろ、無意識に触ってしまう携帯やパソコンなどの電子機器から強制的に離れて、心を落ち着かせる時間をとれるため、良いことだと思っています。
 
礼拝の時間は太陽の動きによって決まります。
そのため毎日少しずつですが礼拝時間は変化します。
以下の写真のように礼拝時間を表すカレンダーや、
 

 
モスクにはこちらの写真のように1日5回の礼拝時間の始まりを示す時計があります。
 

 
では、なぜ1日5回も礼拝をするのでしょうか。
それはイスラームの啓典であり、神様からの言葉である「コーラン（クルアーン）」にそのように記載されているためです。日本語に翻訳された、いくつかの節をみてみましょう。
 
雌牛章（2:43）
そして礼拝を遵守し、浄財を支払い、ルクーゥ（立礼）する者たちと一緒にルクーゥするのだ。
 
雌牛章（2:277）
本当に、信仰して正しい行いに励み、礼拝を遵守し、浄財を支払う者たち、彼らには、その主の御許に彼らの褒美がある。そして彼らには怖れもなければ、悲しむこともないのだ。
 
この章句以外にも、礼拝の遵守はクルアーンに何度も出てきます。それくらい、ムスリムにとって大切なことなんですね。
また1日に5回礼拝をする理由は、こちらの3つの節から考えられるようです。
 
フード章（13:114）
また（預言者よ、）昼の両端と夜の一部に、礼拝を遵守せよ。本当に善行は、悪行を駆逐するのだから。それは教訓を得る者たちにとっての、教訓である。
 
こちらの節で、ファジュル、マグリブ、イシャーが定められていると考えられます。
 
カーフ章（50:39）
ならば（使徒よ）、彼らの言うことに耐え、太陽が昇る前と日没前に、あなたの主の称賛と共に（かれを）称えよ。
 
こちらの節では、ファジュルとアスールが定められていそうです。
 
東ローマ人章（30:17-18）
あなた方が夜を迎える時と朝を迎える時、アッラーに称えあれ（、と称えよ）。
ーーかれにこそ、諸天と大地における称賛があるーー。また、夜に、そしてあなた方が昼を迎える時に（称えよ）。
 
そしてこちらの節で、ファジュル、ズフール、アスール、マグリブが定められている、と考えられます。
 
礼拝をする場所は、清潔であればモスクに行かなくても、どこでもできます。また、集団で行った方が良いとされていますが、個人でやっても問題はありません。
上記の写真にある時間ぴったりにやらなきゃいけない、というわけでもなく、次の礼拝時間が始まるまでにやればよくて、もしその時間内にできなければ、次の時間帯にまとめて行うこともできます（もちろん、決められた時間内に行った方が良いですが）。
日本で生活をする僕の知り合いの中には、学校や職場ではできないため、日中の礼拝を夜にまとめて家に帰ってから行う人もいます。
ちなみに僕は、事務所内に誰もいない時に、1人で礼拝をしていました。
 

 

 
ここまででお察し頂けたかと思いますが、一つ一つ厳しく決められているのではなく、ムスリム一人一人がその状況や環境に合わせて礼拝を行なっています。
 
1日の過ごし方は、ムスリムだからムスリムではない人と全く違うかっていうと、そうでもありません。同じ学校に通う人や職場の同僚でも、1日の過ごし方って違いますよね。
 
ムスリムも日本という同じ国に暮らしているわけですから、似ていることも多いと思います。学校で勉強していたり、仕事をしていたり、レストランで食事をしたり、などなど。
生まれや育ちが全く同じ人はいません。
 
部屋章（49：13）
人々よ、本当にわれらは、あなた方を一人の男性と一人の女性から創り、あなた方が知り合うべく、あなた方をいくつもの民族や部族とした。
 
自分の知らないことを知ろうとすること、
それが大切なのかなと思います。
 
アッサラームアレイクム（皆様の上に平安がありますように）