もしかしたら有害!?　手洗い・うがい・マスク①_手洗い編【看護師による健康コラム】

寒くなってきましたが、皆さまお変わりなく過ごされているでしょうか。
最近クリニックや通勤中の電車の中でも風邪をひいている人をよく見かけます。残念ながら私自身も感染してしまったらしく、2週間ほど咽頭炎を中心とした症状に悩まされました。
そういった時によく訊かれるのは手洗い、うがい、マスクの効果についてです。私たちはこういった習慣についてテレビや新聞などでよく目にするのですが、実のところ正しく行えている人も正しく知っている人も少ないのが現状です。今回は最近のニュースなども取り入れながらお話しして行きたいと思います。
①手洗いについて
2016年秋、アメリカ食品医薬品局FDAはEUに続いて、いわゆる「薬用せっけん」の販売を禁止しました。有効でないばかりか有害の恐れもあるというのがその理由です。
具体的には、通常の石鹸と水による洗浄以上の効果がないどころか、感染症リスクの増大・腸内細菌叢の変化による免疫低下・抗生物質耐性菌の増加・環境汚染などのリスクがあるというのです。しかし、手洗い自体の効果に関しては、アメリカ海軍やパキスタンでの実験結果を見ると手洗いを義務付けられたグループの方が呼吸器感染症を発症する確率が４５～５０％ほど低下しており、有効性が確認されています。ドアノブや手すりなどに付着したウィルスは１２時間ほど生きるものもあるため、帰宅後や食事前にしっかり３０秒以上かけて手洗いするのがおすすめです。