「ムスリムと学校」について大学でお話ししてきました

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「ムスリムと学校」について大学でお話ししてきました

スタッフコラム

2022/07/19 「ムスリムと学校」について大学でお話ししてきました

 
先日、都内にある大学の「英語科教育法」という授業にて、国際理解教育の一環で日本に住んでいるムスリムとしてお話をさせて頂いた。この授業を担当している先生と私は、私が高校生の時に知り合い、今回はそのご縁でお声かけ頂いた。新型コロナウイルスの感染が拡大していた昨年は、オンラインで授業に参加し、私は改宗した経緯をお話しした。
 
今年はコロナの状況も昨年と変化していたため、大学の教室にてお話することになった。授業時間は 90 分。そのうちの 60 分を頂いた。今年は何を話そうかと考えていたところ、先生から、受講生は教職課程を履修している大学 2 年生が多い、と伺った。私の知り合いには、日本で生まれ育ったムスリムがいる。私は彼らから、小中学生の時に考え方の違いからトラブルに巻き込まれることもあった、という話を聞いていた。そのため今回の講義では、「ムスリムと学校」というテーマでお話することにした。
 
とはいえ私がイスラームへ改宗したのは、大学に入学してからのことである。私自身、小中学生の時には人間関係の悩みなどはあった(?)ものの、宗教上の理由で困難に直面した、ということはない。私の思い込みだけで話してはいけないと思い、『となりのアブダラくん』(黑川裕子著、2019年、講談社)という本を参考に、ムスリムたちが日本の学校でどのような問題に直面するのかを調べてみた。
 
こちらの本の主人公は小学校 6 年生の男子児童。親から言われて空手教室に通っていた主人公だったが、趣味が編み物であるということを両親になかなか打ち明けられない。そんなところにパキスタン出身の転校生がやってきた。そしてひょんなことから主人公は、転校生のお世話係を任される。転校生はムスリムで、日本語もうまく話せない。異なる習慣や考え方で育ってきた人と生活する中で、主人公やその周囲の人たちが、色々な事に気づきを得ていく、興味深い物語である。
 
『となりのアブダラくん』では、転校生は宗教上の理由で毎日お弁当を持ってきたり、転校生の妹がヒジャーブと呼ばれる布を被っていたりと、ムスリムの生徒が学校で直面する事柄について触れられ、その解説もされていた。そこで、大学の講義では本に掲載されていた解説に付け加えるような形で、ムスリムの考え方と、食事・服装・校外学習の 3 点について、管見の限りではあるが、説明をしてきた。
 
 
講義では、
・誰が良い/悪いという判断は神のみぞ知る事である
・現在全世界で 18 億人以上いると言われるムスリムには多様な考え方がある
・それぞれが神様の言葉であるクルアーン(コーラン)を解釈して、日々実践している
・背景となる考え方を知り、一人ひとりと対話をしながら生徒たちを理解する
という事をお話した。
 
授業後のアンケートでは、「イスラム教は、ルールに厳しいイメージが最初はあったが、お話を通して多様性のある宗教であると感じた。」という意見や、キリスト教徒の友人がいる方からは、「『信じる』という気持ちを一番大事にしているということが分かった。」というコメントがあった。
 
また、イスラームは厳格で、豚やお酒を口にしないというイメージを持っていた、というコメントも多く寄せられた。これは、キリスト教徒や仏教徒のように身近にムスリムの友人がおらず馴染みがない、世界史や倫理などの学校の授業やニュースでは戒律が多い、という説明がなされることが多いためだろう。
 
だが考えてみると日本でも、学校や仕事場には制服・ドレスコードがあるところが多いし、マスクをつける・つけないは色々な学説が飛び交うが、自分自身で情報を収集して、判断をしている。どこにでも決まりがあって、それぞれが独自の解釈をしている。
 
厄介なことに、日本ではどこにも明文化されていない「空気」を読まなきゃいけない。ムスリムの考え方はクルアーンを読めば理解することはできる、と私の大学の先生が言っていたが、まさにその通りである。
 
教えを厳格に守る人/守らない人という区別をする人も多いが、イスラームにおいては個人と神様との契約なので、何が「厳格」で「柔軟」な解釈なのかは、神のみぞ知るものである。
 
なので、他人の目から誰が柔軟な解釈なのか、などは言うべきではないのではないかと思う。むしろ、人の振りを見過ぎて我が振りを忘れてしまうことの方が問題だろう。
 
授業を通じて、当事者が語ることの重要性も感じた。学校の先生やメディアの制作者も、イスラームについて知らないまま発信するため、誤った印象を与えてしまうのだと感じた。さらに、今まで日本のムスリムの多くは『となりのアブダラくん』に出てくる転校生のように、日本語を母語としない人たちが多く、言語の面でも壁があり、意見を伝えることが難しい場面もあったのだろう。そのため、日本で生まれ育ち、日本語を母語とする自分が勉強しながら、少しずつ発信をしていくことの重要性も感じた。
 
そして、1 時間、マスクをつけながら話し続けるのは大変だった。マスクをつけながら 1 日何コマも講義をしている先生方、本当にすごい、、、、。
これから講義はちゃんと受けます、インシャアッラー
 
 

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